ART BOOKS
「みる・よむ・きく 南の島ことば絵本」シリーズ(ひつじ書房)
「みる・よむ・きく 南の島ことば絵本」は、消滅が危惧されている琉球・奄美諸島のことばや文化を継承保存し普及するという目的でひつじ書房より出版した多言語表記の昔話絵本シリーズです。
本シリーズは、沖縄県八重山諸島に位置する与那国島、竹富島、多良間島および鹿児島県 奄美諸島の沖永良部島にそれぞれ伝わる昔話や民謡を元に制作しています。島ことばの語り手の方々に調査・聞き取りを行い、言語学者チームが文章化し文法の解説を執筆しました。私はデザイナー・イラストレーターとしてプロジェクトに参加し、現地での取材をもとに、絵本の絵とブックデザインを担当しました。
絵本の刊行にあたっては、消滅危機言語の継承保存をしながらその仕組み作りについて考 えるプロジェクトチーム「言語復興の港」がクラウドファンディングを行い、多くのご支援者さま の賛同により出版に至りました。
みる・よむ・きく 南の島ことば絵本—与那国島—
ディラブディ
与那国島に住んでいた実在の人物「ディラブディ」が登場する民謡を元にした創作物語です。文法解説と朗読音声データ付き。ディラブディ、ウデャマ、イサがお腹をすかせた子どもたちのためにアブヒティ浜 に魚を獲りに行き、大漁して帰ってくるお話です。よなぐに幼稚園の與那覇悦子先 生が作話してくださいました。絵本の主人公である陽気で頼れるお父さん、「ディラ ブディ」は与那国島在住の三線奏者で唄者、民具制作者の與那覇有羽さんをモデルにして描きました。
定価1600円+税 A4判縦上製カバー装 40頁
ISBN978-4-8234-1050-5
【著者紹介】
作話 與那覇悦子
絵・ブックデザイン 山本史
聞き取り・ことばの解説 山田真寛
英訳 藤田Round 幸世 、Rick Round
みる・よむ・きく 南の島ことば絵本—竹富島—
星砂の話
竹富島の浜辺で、なぜ星の形の砂が見つかるのかという由来を描いた、星にま つわる昔話。文法解説と朗読音声データ付き。絵とブックデザイン担当の山本がこ の美しく哀しいお話を石垣在住の友だちから教えてもらい、絵本にしたいと考えたと ころから制作がスタートしました。その後石垣島白保のことばを研究していた言語学 者の中川が絵本プロジェクトに参加。竹富島のことばを新たに勉強するのはかなり 大変だったが勤勉な竹富の方々に助けられて順調に調査できました。島の語り手で あった内盛スミさん(故人)による語りが物語の文章のベースとなっています。
定価1600円+税 A4判縦上製カバー装 40頁
ISBN978-4-8234-1051-2
【著者紹介】
伝承 内盛スミ
絵・ブックデザイン 山本史
聞き取り・共通語訳・ことばの解説 中川奈津子
英訳 藤田Round 幸世、Rick Round
みる・よむ・きく 南の島ことば絵本—多良間島—
カンナマルクールクの神
多良間島の中筋集落に生まれた絶世の美少女、カンナマルの悲劇的な運命を描 いた昔話です。文法解説と朗読音声データ付き。多良間島をルーツとしたらまふつ を研究する言語学者の下地が祖母に言語調査し、その後港の活動に参加。再話・ 日本語訳の確認や、朗読を野原正子さんに依頼しました。「カンナマルクールク」は 『多良間村の民話』(多良間村役場、1981)に収められており、今も実際に島に 残る拝所(井戸)や地名、屋号などがいくつも出てくることからこのお話を絵本にすることにしました。
定価1600円+税 A4判縦上製カバー装 40頁
ISBN978-4-8234-1052-9
【著者紹介】
伝承 野原正子
絵・ブックデザイン 山本史
聞き取り・共通語訳・ことばの解説 下地賀代子
英訳 藤田Round 幸世 、Rick Round
みる・よむ・きく 南の島ことば絵本
—沖永良部島—
塩一升の運
同じ日に生まれ、神様に塩一生の運と竹一生の運をそれぞれに授けられた夫婦 の人生を描く昔話です。文法解説と朗読音声データ付き。この絵本は西側の上平 川方言と東側の国頭方言の代表的な集落の二言語を入れ、計4 言語表記となりま した。言語学者の横山が聞き取りや調査、田中美保子さん、松村雪枝さんが語っ てくださいました。ニラの神様が生まれてくる男の子と女の子にそれぞれ塩一升の運、 竹一本の運の運命を授けるお話の流れや初麦を神様に供える島の風習が興味深く、 またこのお話は、「炭焼き長者」など日本や東アジアに数々の類話があります。
定価1600円+税 A4判縦上製カバー装 44頁
ISBN978-4-8234-1053-6
【著者紹介】
再話[上平川方言]松村雪枝
再話[国頭方言]田中美保子
絵・ブックデザイン 山本史
聞き取り・共通語訳・ことばの解説 横山晶子
英訳 藤田Round 幸世 、Rick Round
沖永良部島のオノマトペ絵本:
シマノトペ
『シマノトぺ』は沖永良部島のオノマトペ(擬音語・擬態語)をリズムで覚えられる絵本です。言語学者の横山晶子さんが島の面白いオノマトペを集めて作ったお話に、ちょっと昔の島の家族の日々の暮らしや動物たち、鮮やかな海や植物などの絵をつけて、楽しい絵本に仕上げました。
絵本「シマノトペ」は言語復興の港のWEBSHOP、「みなと商店」でご購入いただけます。(本体価格 500円 送料別)
多言語表記民話絵本 : 星砂の話
(プロトタイプ版)
「民話採集」は世界各地で古くから伝えられている民話を取材し、原文と現代語訳を併記した絵本にしてアーカイブとして次の世代に残していくプロジェクトです。シリーズ最初の絵本は沖縄の八重山諸島にある竹富島に口伝で伝わる「星砂の話」です。
[The Folklores Collecting] is an archive project for next generation, We've been researching old folklores from all over the world and will create the series of picture books.The stories are recorded in original local languages, English and Japanese on the books.
The first picture book [The Tale of Star sand] is based on an oral tradition folklore of Taketomi island in Okinawa prefecture.
多言語表記民話絵本 :
カンナマルクールクの神
(プロトタイプ版)
「言語復興の港」プロジェクトの一環として、美少女クールクの悲劇を描いた沖縄県多良間島の民話「カンナマルクールク」を言語学者やデザイナーのチームメンバーたちとアコーディオン型の二言語表記絵本(方言+標準語)にしました。
Our project team member (linguists, designer and Illustrator) created a multiple languages picturebook 'Kannamaru Kuruku no kami' which based on an old tragic folktale of Tarama island in Okinawa prefecture.
The picture book was published as a part of the 'Port Language Revitalization' project.
多言語表記民話絵本:
ディラブディ
(プロトタイプ版)
「ディラブディ」は「言語復興の港」プロジェクトの一環として制作した、与那国島の古い民謡を元に作られたお話です。ご近所同士のディラブディ、ウディヤマ、イサが、家族のために魚を獲りに出かけます。
現地での取材を元に描かれた与那国島の豊かな自然を背景に展開する、明るくおおらかな絵本です。
「言語復興の港」プロジェクトとは?(絵本の企画・制作について)
「言語復興の港」は、消滅危機言語の継承保存をしながら、その仕組みを作っていくプロジェクトです。地域言語の研究者、作家、デザイナーなどの人的リソース、ことばを楽しみながら学べる地域言語コンテンツ、これらの制作と利用の経験を地域言語コミュニティと共有し、地域言語コミュニティが自分たちで地域言語を残すことができるようなしくみを目指しています。
※本プロジェクトは、⾔語や⽂化・芸術の多様性や、さまざまな価値観を互いに認め合うことのできる地域社会を目指すための試みです。その意義に賛同する専門家や地域 コミュニティメンバーが自主的に集まり行っている取り組みであり、営利を目的としておりません。
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